130928X15-thumb-500x334-22229.jpg

端から端まで乗り歩き 函館市電を満喫の旅

  • あなたのテーマでディープな函館
  • 市電・バス
  • 鉄道
観光客の皆さんや地元市民にとって、心強い存在である函館の路面電車。移動に利用するだけでなく、街並みを眺めながらただ乗っているだけでも楽しいものです。全線10.9キロ、端から端まですべて乗り通しても所要時間は1時間40分程度。今回は、宿泊施設の多い「湯の川温泉」電停からスタートして、一日乗車券片手に3つの終点を巡ることにしましょう。いろいろなデザインの電車に出合えて、途中下車しながらでも半日あれば楽しめる、市電満喫のショートトリップに出発!
 
130928X15.jpg
(終点のひとつ、函館どつく前電停。行き止まりで折り返します)
 
◆折り返しポイント〈1〉「湯の川」

130928G01b.jpg

函館市電の全路線と今回のルートは左の通り。まずは、「湯の川温泉」電停から湯の川行きの電車に乗り込み、東端の終点「湯の川」へ向かいましょう。
香港トラムなどのような終点にループ線のない函館市電の場合、終点に着くと折り返しの作業が行われます。お客さんを全員降ろして降車口をいったん閉め、運転士さんはブレーキハンドルなどを外して後ろ側の運転席に移動。今度は前になる運転席にハンドル類を取りつけて運転方向を変えた上で、入口の扉を開け、待っているお客さんを乗せます。
終点に到着してから約3分で折り返し作業を終えたら、谷地頭や函館どつく前へと発車。いったん降りて、同じ電車に乗って折り返してもいいし、1台見送って次の電車に乗ってもいいでしょう。
 
130928X02.jpg 130928X03.jpg
 
◆途中下車ポイント〈1〉「駒場車庫前」

130928X05.jpg

「湯の川」から5分、3つめの電停が「駒場車庫前」。市電を満喫する旅でお世話になる車両達を見るには、駒場車庫がうってつけです。途中下車して、歩道から中をじっくりと観察してみましょう。
電車通りに面した車庫の構内に、色とりどりの車両がずらりと並んでいます。これから運行に就く車両、待機中の車両、洗車中の車両、建物の奥のほうには整備中の車両も。ササラ電車などの珍しい車両も留まっています。
これから運行に就く車両が、車庫から道路上の軌道へ出入りするのも見られます。とくに早朝や夜間は出入りが頻繁。その際には、歩道と車道の信号が赤に変わり、電車が歩道を横切って出入りするので見ものです。
 
◆車窓の見どころ〈1〉直角カーブに市電の歴史あり
 

130928X17a.jpg

「駒場車庫前」から先に向かう電車は、早朝や夜間を除いて7分間隔で運行しています。車庫をじっくり見たら、ふたたび乗り込みましょう。
ところで、函館市電の現在の路線には、「五稜郭公園前」「松風町」「函館駅前」の3カ所に直角カーブがあります(左の路線図参照。クリックすると拡大します)。これらは、今は廃線になった路線への分岐点のなごり。「五稜郭公園前」からはガス会社回り線(1993年に廃止)が、「松風町」からは東雲線(1992年に廃止)が、「函館駅前」からはガス会社回り線がそれぞれ分岐していました。
電車が直角カーブを曲がる際には、道路信号は赤の状態で市電専用の矢印の信号が点灯し、市電は交差点へと進行します。
 
130928X06.jpg 130928X07.jpg 130928X08.jpg
左から、五稜郭公園前、松風町、函館駅前の各電停付近の直角カーブ
 
◆途中下車ポイント〈2〉「十字街」

130928X09.jpg

「駒場車庫前」から直角カーブ3つを経由して約30分、「十字街」に到着。現在では函館市電唯一の分岐点がある場所で、5系統の電車は直進して「函館どつく前」へ、2系統は左折して「谷地頭」へと向かいます。これらが7分おきに交互に到着し、乗り換える人や、ロープウェイ乗り場、元町、ベイエリアへ向かう人の乗り降りが多く、函館市電の中でも利用者数が多い停留所の一つです。
かつては宝来町から末広町へ抜ける分岐もあり、始発から終電まで係員が操車塔に詰め、進行方向ごとにポイントを切り替えていました。交差点には、その名残の旧操車塔が残されています。また、このあたりから空を見上げると、電車に電気を送る架線や、架線を支えるワイヤー、電線がクモの巣のように張り巡らされた、分岐点ならではの光景が見られます。
 
◆車窓の見どころ〈2〉映画のロケでも人気の坂を体感

130928X10.jpg

「十字街」からは2系統、5系統のどちらから先に巡ってもOK。今回は先に2系統で「谷地頭」に向かいました。
「宝来町」を過ぎると、市電沿線で函館の坂を体感できるポイントにさしかかります。「青柳町」までは緩やかな上り坂、「青柳町」から「谷地頭」への下り坂は勾配がきつく、電車は下りならブレーキをかけて徐行しながら、上りなら目いっぱい力を振り絞りながら、坂を通過していくのが実感できるでしょう。
ちなみに、「青柳町」は市電が坂の向こうから停留所に上ってくる姿が映画やドラマのロケで使われるなど、人気のある撮影スポットです。時間があれば途中下車して、観察してみるのもいいですね。
 
◆折り返しポイント〈2〉「谷地頭」

130928X11.jpg

函館山に抱かれた閑静なエリアにある終点「谷地頭」。坂の一番下にある電停からは、車の隣で坂道を上り下りする市電の姿を見ることができます。
到着した電車は概ね3分の停車時間で折り返し。1本見送って、乗ってきた電車が坂をよっこらしょと上っていくのを見たり、次の電車が坂をゆるゆると下ってくるのを待つのもよし。日中の運行間隔は14分なので、次の電車は10分足らずでやってきます。
「谷地頭」では、電停そばのコンビニや土産物店、公衆トイレに寄ったり、徒歩約5分の谷地頭温泉につかるのもおすすめ。風呂上がりには、館内の軽食処で昼食をとるのもいいですね。
 
130928X12.jpg 130928X13.jpg 130928X14.jpg
 
◆折り返しポイント〈3〉「函館どつく前」

130928X16.jpg

2系統の終点「谷地頭」と5系統の終点「函館どつく前」間は、基本的に直通電車はありません。中間の「十字街」に戻り、5系統に乗り換えることにしましょう。
「函館どつく前」は、その名の通り函館どつく株式会社函館造船所のお膝元。函館どつくを含め、界隈にはレンガ造りの倉庫などが点在しており、函館の古きよき時代の原風景が多く残る地域でもあります。
こちらも折り返しまで3分ほど、運行間隔は14分です。電停付近には、幕末の歴史の舞台でもある弁天台場跡新撰組最後の地碑が、また2分ほど歩けば函館港に突き当たり、函館どつくで建造・整備を受けている船を見ることができます。
 
 

191128M01.JPG

さて、湯の川温泉を起点にした今回の旅もそろそろ終わりです。「函館どつく前」から5系統「湯の川」行きに乗り込むと、40分余りでスタートの「湯の川温泉」へ。おつかれさまでした! 停留所から徒歩1分の足湯「湯巡り舞台」にトライするもよし、老舗和菓子店の銀月で団子を買って湯倉神社の境内で食べるのもいいですね。
 
ちなみに、本日のお伴「市電1日乗車券」は、600円で一日中市電乗り放題。今日乗ったコースを計算すると1370円になりますので、とてもお得ですし、支払いの煩雑さもありません。路線図やエリアマップつきで、一部観光施設や飲食店で提示すると割引などの特典も受けられます。スマートフォンで事前に購入できるスマホ用市電1日乗車券もあります。
 
2013/10/4公開  
⇒函館市電の路線案内はこちら(函館市企業局交通部)

このサイトでは、ユーザーエクスペリエンスを向上させるためにCookieを使用しています。引き続き閲覧される場合は、当サイトでのCookie使用に同意いただいたことになります。 承諾する