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歴史の息づく街、箱館はじめて物語

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函館の街を歩く楽しみのひとつは、今も生き続ける幕末から明治、大正の歴史に出合うこと。異国情緒あふれる街並みは、まるでタイムスリップ
したような不思議な感覚を呼び起こします。
日本の中でもいち早く世界に門戸を開き、新しい文化を吸収していった函館(当時の箱館)は、独自のハイカラ文化を開花させました。とくに開港
の中心地であった西部地区(函館山のふもとの、港に対面する地域)には、日本で、また北海道で「初めて」という施設や制度がたくさん生まれ、その多くが今も残っています。
近代日本の基盤づくりに貢献した、そんな函館(箱館)の「はじめて物語」を集めてご紹介しましょう。活気あふれる発展のストーリーを頭に入れて街を歩けば、ひと味違った風景が見えてくるかもしれません。
 
※協力/箱館歴史散歩の会主宰・中尾仁彦<なかお とよひこ>
2011/9/16公開
 
◆ご紹介する12の物語(タイトルをクリックすると、各記事が見られます)
東北以北最古のエレベーター
「十字街」電停そばの「函館市地域交流まちづくりセンター」に現存する、手動制御のエレベーター。今も稼働中で、スタッフに申し出ると乗ることができる。
 
北海道最初の公園「函館公園」
イギリス領事のユースデン夫妻の呼びかけで、明治12(1879)年に完成した北海道最初の公園。国の補助金と併せて、市民の資金・労力などの提供で造成。
 
日本最初の洋式商用帆船「箱館丸」
安政4(1857)年に建造された、日本初の洋式商用帆船。当時の箱館奉行・堀利熙の要請で、高田屋嘉兵衛のもとで船大工として働いていた続豊治が製作。
 
日本最初の洋式築造城郭「五稜郭」
幕末の開港時に箱館の防備強化を図るため、元治元(1864)年に造られた日本最初の洋式築造の城郭。設計は、学問所「諸術調所」教授の武田斐三郎。
 
日本最初のコンクリート製寺院「東本願寺函館別院」
明治40(1907)年の大火後の明治45(1912)年に起工された、日本初の鉄筋コンクリート造りの寺院。二十間坂沿いにあって、3万3千枚の黒い瓦は圧巻。
 
日本最初の日本人設計の上水道
衛生的な飲料水の供給のため、水源地の赤川と元町配水場の高低差を利用した上水道が、明治22年9月に完成。日本人設計のものとしては日本初の創設。
 
日本最初のギリシャ正教会「函館ハリストス正教会」
安政6(1860)年にロシア領事館の付属聖堂として開設、明治5年に正教会に移管された日本最初のギリシャ正教会。現在の建物は大正5年に再建されたもの。
 
日本最古の銀板写真
元町公園の「函館市写真歴史館」に展示されている銀板写真(複製)。安政元(1854)年、ペリーの箱館来航の際に応対した松前藩士を写したもの。
 
北海道最初の学問所「諸術調所」
安政3(1856)年、箱館奉行所の教育機関として幕府が設置した北海道初の学問所。武田斐三郎が蘭学、測量、航海、造船、砲術、築城、化学を教えた。
 
官立初の気象観測の地
明治5(1872)年、現在の金森倉庫の場所に日本最初の官立気象台「函館気候測量所」が創設された。創設者の福士成豊は、箱館丸を建造した続豊治の息子。
 
日本最古のストーブ
冬の寒さをしのぐため、安政3(1856)年、鋳物職人・源吉が製作したのが日本で最初のストーブ。レプリカが箱館高田屋嘉兵衛資料館に保存されている。
 
日本最古のコンクリート電柱
二十間坂を下った先、赤レンガ倉庫群近くにある角錐型の電柱は、大正12(1923)年建造の日本で最も古いコンクリート電柱。今も現役で使われている。

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