函館の冬の味覚、ごっこ汁が味わえる店
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テレビの旅番組などでもよく紹介され、ぷっくり愛らしい姿で注目を集めている珍魚、ごっこ。函館の真冬の味としてスーパーなどの鮮魚売り場にもずらりと並び、市内の居酒屋でも冬の定番として提供する店が多くあります。なかでも人気なのは、コラーゲンたっぷりのプルプルした身が入った「ごっこ汁」です。函館では例年、「ごっこまつり」なるイベントも開催されています。名物のごっこを味わいに、冬の函館にいらっしゃいませんか。
◆ごっこって何?
ごっこは、別名ホテイウオ。丸いおなかが七福神の布袋さまに似ていることが由来です。ふだんは海の深いところにいて、冬の寒い時期、産卵するために浅瀬に上がってきます。函館の東部、恵山地区で獲れるごっこが有名ですが、北東部の南茅部地区でも12月から採れ始め、寒い年には3月まで漁が続くといいます。
ごっこは、地元ではごっこ汁で食べられるのがほとんど。具は豆腐やねぎだけのシンプルなものから、じゃがいも、大根、にんじんなど具だくさんのものまで、さまざまあります。味はあっさりしたしょうゆ味のほか、みそ仕立てにされることも。コラーゲンたっぷりの身とプチプチの卵がたっぷり入っているのが人気です。
季節になると、スーパーの鮮魚売り場で見かけるごっこ汁セット。下処理済みのごっこの身、肝、メスの卵、オスの白子が使いやすくパックされ、家庭で手軽に料理できるようになっています。
自分でさばく人のために、まるのままのごっこも販売。大きなものは、1キロを優に超えるものもあります。卵のとれるメスは、オスに比べてやや高めの値段です。
◆函館の居酒屋でごっこ料理を堪能
2月の寒い夜、ごっこを味わいたくて、元漁師の大将が営む居酒屋「海鮮居酒屋ヤン衆漁場 二代目昌栄丸」に足を運びました。今や函館のスーパーなどで普通に売られているごっこですが、やはり鮮度が命。時間が経つと生臭さが出てくるので、浜に上がったごっこを仕入れてきて、すぐに生干しにするそうです。こちらは「生干しごっこのバター焼き」。プリプリとしてハリのある食感は、ごっこにしかないものでしょう。
こちらは、生干しごっこの唐揚げ。カリッと揚がって、香ばしさ満点です。交互に食べ比べながら、日本酒をちびりちびりがよく合います。
締めは、もちろんごっこ汁。あっさりしたしょう油味で、ごっこの身や卵のほか、豆腐や生海苔が入っています。漁師の家で普段の朝ごはんに出すというシンプルな味は、ごっこの素朴な触感を邪魔しないのだそうです。艶々としたごっこの身をつまみ上げて、口の中に放り込むと、やわらかくも確かな歯ごたえ。毎年欠かさず味わいたい、函館の真冬の味覚です。
◆特別公開、ごっこの下ごしらえ
昌栄丸で、実際に料理するところを見せてもらいました。店内では、季節になると水槽にごっこが泳いでいる姿が見られます。
黒くてぼってりとした生ごっこを、沸騰したお湯の中に入れて少し転がすと、やがて表面のぬめりが取れて、つるんとした感じになります。浜の漁師達は、この後、簡単にさばいて潮風にさらしておくのだそう。ごっこでも何でも、潮風にさらして干したものがおいしいらしいのです。
腹を切って、肝を取り出しているところ。店では、くちばしや吸盤、えらなどを切り落としてから、ぶつ切りを鍋に入れてごっこ汁にしたり、2枚におろして生干しにしたりします。
恵山の浜で見かけた干しごっこ。この風景も、函館の冬らしいものです。
◆ごっこ汁が味わえる店
(写真提供/おいしい函館)
函館市内では、例年ごっこ漁がある1月下旬~3月ごろ、ごっこ汁がメニューに加わる飲食店が多くなります。ここに挙げた店のほかにも、居酒屋や食堂で要チェック。店によって合わせる具や味つけ、分量はさまざま。冬の函館の味を、ぜひ味わってみてください。
※漁などの状況で用意できないときもあります。
海鮮居酒屋ヤン衆漁場 二代目昌栄丸 元漁師の大将が出す、豪快な浜料理が人気
函館市松風町13-3 0138-83-6433
炉ばた大謀 南茅部地区の網元直営、旬の魚が自慢
函館市松風町7-5 大門横丁内 0138-22-3313
魚河岸酒場 魚一心 ボリューム満点、サラリーマンご用達の居酒屋
函館市松風町3-11 0138-26-0457
北の台所 ヤマタイチ 地酒と美味しい肴や食事を楽しめる家庭的な店
函館市松風町7-5 大門横丁内 0138-22-5556
いか清 大門 函館駅前の路地にあり、活気満点
函館市若松町6-10 0138-27-1506
朝市の味処 茶夢 松前町の元漁師の営むアットホームな店
函館市若松町9-15 どんぶり横丁内 0138-27-1749
活魚料理 いか清 広々とした座敷で豊富なメニューが楽しめる
函館市本町2-14 0138-54-1919
2012/2/15公開
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