西部地区新店めぐり＜その２＞

■HOTEIYA　SANDWICH　STAND　海外での体験を注ぎ込んだ自慢のソース

　函館市景観登録建築物指定の倉庫２階、まるで宙吊りのように感じるガラス張りの空間にある「ホテイヤ　サンドイッチ　スタンド」はおしゃれでポップなカフェ。店を切り盛りする高瀬健太さんと佐藤啓太さんがワーキングホリデーで訪れたオーストラリアやカナダの飲食店での就労経験を生かして店を開いた。

　サンドイッチの具材は、サバ、ツナ、ラム、チキン、エビ、豆腐の定番６種類のほか期間限定のものを用意し、バゲットでサンド。ソースは週替わりで、和風、洋風、アジアンテイストのレシピに毎回アレンジを加えているので、訪れる度に新しい味と出合える。ドリンクにはオランダ産の浅煎りコーヒー、オーストラリア産の豆乳を使うラテ、欧米のクラフトビールを揃え、培ってきた国内外での経験と人脈が店の中に詰まっている。

HOTEIYA SANDWICH STAND

函館市末広町4-11　LOFT HAKODATE 2F

11時～19時

※木曜は12時から、土曜は20時まで（各30分前ラストオーダー）　

月～水曜定休　禁煙　駐車場あり

080‐5893‐0356

■二十間坂 Little Feet　大人がじっくりと語り合えるカフェバー

　ＪＢＬのスピーカーとマッキントッシュのアンプという、オーディオマニア垂涎の組み合わせで流す音楽を、天井高い吹き抜けの空間に心地よく響かせるカフェバー。ジャズ、ソウル、ブルース、ロックと、レンガ造りの壁面に並ぶ約２０００枚のＬＰレコードやＣＤは、ギタリストとして自らもライブ演奏経験を持つ紅林潤店主が長年集め、「パンク以外のロックであれば大方のリクエストに応えられる」と言う自慢のコレクションだ。

　音楽に浸る時間に花を添えるのが、ネルドリップでじっくりと落とす濃厚でまろみあるコーヒーや自家製のスイーツ。小腹が空いた時は、ザワークラフトをアレンジしたグリーンソースや野菜感たっぷりのトマトソースが味の決め手の「ホットドッグ」もおすすめ。細部にまで詰まったこだわりで、大人たちがいつまでも語り合いたくなる特別な場を築いている。

二十間坂 Little Feet

函館市末広町17-19　

11時～16時、19時～22時（各30分前ラストオーダー）

※夜は金・土曜のみ営業　

不定休　禁煙　駐車場２台あり　キャッシュレス決済利用可

０９０‐９３６３‐１１８５

■spica　世界の雑貨と心安らぐひとときを

　姿見坂の上に隠れ家のように立つ雑貨店併設の古民家カフェ「スパイカ」。函館らしい和洋折衷スタイルの建物は約１００年前、日魯漁業（現マルハニチロ）の副社長を務めていた真藤慎太郎氏の邸宅として建てられたもので、２０２２年、歴史ある空間をそのまま生かしたショップとして、地域の人や旅行者が集える場に生まれ変わった。

　天井が高く優雅な雰囲気の洋室に並ぶ雑貨の数々は、濵本なつき店主がヨーロッパを中心に世界20カ国を旅して集めたもの。イタリアののみの市やイギリスの骨董市で出合った食器やアクセサリーなどのアンティーク品から、フランスの商店で見つけたポケットティッシュやエコバッグといった生活雑貨まで、個性的なラインアップは一つひとつに各地の暮らしと文化が感じられ、時間を忘れて見入ってしまう。

古民家カフェ・雑貨販売 レンタルスペースspica

函館市船見町７‐１９

12時～17時（冬季期間は11時～16時）

不定休　禁煙　駐車場あり

キャッシュレス決済利用可

０１３８‐７６‐０３１３

■しおから亭　客の声に応えて生まれた小田島水産食品の酒場

　「小田島水産食品」は、コガと呼ばれる杉樽で発酵、熟成させる伝統製法でイカ塩辛を作り続ける老舗。築１００年を超える工場に併設する直売所では、多彩な塩辛を味見しながら購入でき、来店客から、「ご飯と一緒に食べたい」「お酒が飲みたくなる」と要望が寄せられていた。そこで塩辛のアレンジ料理を味わいながら酒が飲める空間を作ろうと、直売所内にカウンターやテーブル席を用意し、2022年「塩辛バル　しおから亭」をオープンした。

　自然発酵ならではのまろやかなコクが口に広がる「木樽仕込みいか塩辛」、３種類の唐辛子がピリリと味を引き締める「函館ハイ辛漬」…。一つひとつ説明を聞きながら10種類の塩辛を食べ比べると、香り、食感、旨みとそれぞれの特徴的な味わいに驚かされる。塩辛を調味料にしたアヒージョやパエリアなどの料理は、家庭でも手軽に再現できるものばかりで、塩辛の楽しみ方を広げてくれる一軒だ。

塩辛ＢＡＬ しおから亭

函館市弁天町２０‐７　

8時半～19時

（予約で22時まで延長可）

無休　禁煙　

駐車場あり

クレジットカード利用可

０１３８‐２２‐４３１２

（この記事は、フリーマガジン「ハコラク」２０２３年６月号から再構成したものです）