新店舗で楽しむ函館の味<その2>
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飲食店
老舗や人気店、話題のカフェなど函館・近郊で最近リニューアルした飲食店に、お薦めメニューや空間づくり、新天地での抱負をうかがいました。
第2弾は函館近郊編です。
■FISH&CHIPS UMINECO
一棟貸し宿の併設店 英国発祥の味を道南食材で
イギリス発祥の白身魚とジャガイモのフライ料理〝フィッシュ&チップス〟の専門店。世界各地で働いていた坂上智美店主が、旧イギリス領であるオーストラリアで出合った本場の味を、道南食材を使って再現している。
2019年に食堂「マルテン」が営業する函館市海岸町の店舗を間借りして開業し、24年国道5号線沿いにオープンした一棟貸し宿「イテル」隣りに移転。坂上店主は宿の運営を担いながら、カウンター4席の店内で瓶ビールやつまみと共に自慢の味を振る舞い、旅行者からも人気を集めている。ビールを混ぜた特製の衣でサクサクに揚げる白身魚を、大皿からはみ出さんばかりのボリュームで提供するフィッシュ、道南の農家から仕入れるジャガイモ「キタアカリ」などを太めにカットし、カリッとホクホクに仕上げるチップス…。全メニューテイクアウトできるが、衣の軽い口当たりや白身魚のジューシーさは揚げたてが格別。時期により函館近海産の魚も登場し、道南ならではの季節の味も楽しみだ。
FISH&CHIPS UMINECO
函館市海岸町4‐8 バケーションハウスITER隣
☎080‐4500‐3177
17時~22時(21時ラストオーダー※売り切れ次第終了)
日・月曜定休 (ほかキッチンカー出店日休み)
禁煙 駐車場あり(店舗裏、マルテンと共用)
キャッシュレス決済利用可
■牛たん専門店 進
繁華街から住宅街へ 手間暇掛けた熟成ラム肉に舌鼓
2018年に開店し、浦袖源代表と妻の照美さんがあたたかくもてなす人気店。飲食店が立ち並ぶ本町近郊で営業していたが、客足が増え店が手狭になってきたこともあり、店舗兼住宅になるような物件を検索。五稜郭公園に近く、静かな住宅街の一角にあった二世帯住宅を和モダン風に改築し再スタートを切った。靴を脱いで上がる店内はゆっくりとくつろげる雰囲気で、完全個室や駐車場を完備したことでさらに客層も厚くなり、連日客が絶えない。
自慢の牛タンは氷点温度で3日間熟成させて旨みを凝縮。1枚ずつ手もみで味付けして厚切りにし、岩手県産のナラ炭でじっくりと焼いて提供する。観光客の増加に伴い道民のソウルフードも楽しんでもらいたいと、この秋から牛タンと同じ手法で熟成させる厚切りラム肉も提供を開始。しっとりとした食感、口の中でじわりとにじむ肉汁を2種類の自家製ダレが引き立て、日本酒や麦飯が進むこと請け合いだ。
牛たん専門店 進
函館市柳町6‐5
☎0138‐76‐1605
17時半~22時(21時半ラストオーダー)
日曜定休
喫煙専用室あり 駐車場あり
キャッシュレス決済利用可
■すぱいすかれーHARU.
レトロモダンな店の滋味深く体に優しいカレー
花園商店街に軒を連ね、地元食材を軸にしたカレーを提供。佐々木愛店主は産後の不調を改善しようとしていた時に出合った、北広島市のスパイス専門店「メランジェ」が調合するスパイスの効果に助けられたという。その良さを広めたいと2024年4月から、夫の佐々木善崇さんが代表を務めるイタリアンベースの居酒屋「エゾバルバンバン函館五稜郭店」で、昼の時間帯に間借り営業でカレー店をオープンし、ノウハウを身に付けた。「商店街の雰囲気も良く、家族との生活も大切にできる自宅近くだったこと」が現在の場所への移転の決め手で、店をレトロモダンなカフェ風にリノベーションした。
どの世代も食べられるよう〝おいしい辛さ〟を追求したスパイスカレーは、体を中からじんわりと温め、寒くなるこれからの季節にもお薦め。カレーに加える水出し真コンブだしが、味に深みを生み出す。中でも殻付きガーリックシュリンプが彩る「ココナッツ香るエビカレー」は盛り付けにもこだわった自信作。横に添えた「ミニトマトのミントマリネ」などの野菜中心の副菜も好評だ。
すぱいすかれーHARU.
函館市日吉町3‐44‐13
電話なし
11時半~15時(14時半ラストオーダー)
不定休
禁煙 駐車場あり
■元祖焙煎粗挽十割蕎麦 北匠庵
そばの実から焙煎、石臼挽きする香ばしい十割そば
2016年から自家製麺する十割そばを提供する。住宅や工場が立ち並ぶ一角に構えたカウンターメインの店から口コミでファンを増やし、常連客の紹介を受け2023年、小上がりやテーブル席を備えた国道228号線沿いの店舗に移転。丼や定食、子供も食べやすい稲庭うどんをメニューに加え、そば好きや家族連れでにぎわう。
開業以来、そばの改良を続けてきた東寺正行代表は、焙煎小麦粉を使うラーメン店の存在をヒントにそばの実の焙煎に挑戦。上川管内幌加内町産のそばの実「きたわせ」を取り寄せ、こんがり焙煎してから石臼で製粉。焙煎粗挽き粉に加え、粗挽き、細挽きの3種類のそば粉をブレンドし、香ばしさともっちりした食感、滑らかなのど越しを兼ね備えた十割そばに仕上げた。そばは塩で味わうと風味が際立ち、南茅部地区産白口浜真昆布や鹿児島県枕崎市産カツオ節が豊かに香るつゆとの相性も抜群。森町産「ひこま豚」の厚切りカツに、ダシ卵を半熟で乗せ、自分好みにタレを掛けるカツ丼も人気で、型にはまらない自由な発想で多くの人を惹きつけている。
元祖焙煎粗挽十割蕎麦 北匠庵
北斗市七重浜8‐12‐9
☎090‐1309‐3146
11時~14時ラストオーダー
17時半~20時ラストオーダー
月曜定休
禁煙 駐車場あり
(この記事は、フリーマガジン「ハコラク」2024年12月号から再構成したものです)