城岱牧場経由、大沼一周ドライブの旅
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足をのばして欲張り旅
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ドライブ
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眺望がいい
南北海道を代表する景勝地、大沼国定公園。函館の市街地からは車で1時間かからずに行けるスポットで、函館観光の際にはぜひとも大沼とその周辺の山々と空が作り出す格別な景色を味わっていただきたいと思います。
行きか帰りには少し回り道して、函館市街地や函館山、津軽海峡を一望できる城岱牧場展望台(七飯町)へ。夏のあいだ放牧されている牛たちのいるのどかな風景に、北海道気分が満喫できるはずです。雄大な景色、牧場のソフトクリーム、湖畔の表情豊かな風景を楽しみながら、函館からのドライブ旅行にご案内しましょう。
▲城岱牧場経由、大沼一周ドライブルートマップ
往復約85km・運転時間約2時間半
◆城岱牧場で、牛が草を食む広大な風景に出会う
朝、函館中心部を出発し、行きに城岱牧場に立ち寄ることにしました。展望台までは約40分。函館新道七飯本町ICを下り、最初の信号を右折、大沼方面に続く城岱スカイランに入って、どんどん道を上っていくと10分ほどで到着します。
眼下に広がる七飯町と函館の街並みの向こうには、函館山と津軽海峡。澄んだ空気の向こうには青森の地もくっきりと存在感を放っており、北海道の南の地で本州に向かって立っている自分の存在を感じることができます。空と山が作り出す伸びやかな景色の中で、牛たちがのんびりと草を食む姿を見ていると、そこだけ緩やかに時間が流れているような気持ちに包まれます。
夜には、函館山からの夜景と対照的に、夜景の向こうに函館山を望むことができる代表的な「裏夜景」スポットでもあります。なお、城岱スカイラインは11月中旬~4月下旬の冬期間、通行止めとなります。
城岱牧場は、広さ160haの町営牧場。真夏でも涼しく、快適な環境で放牧が行われます。
屋内の展望施設からも同じパノラマ風景を望むことができます。七飯町の特産品や観光パンフレットも並んでいます。
城岱牧場を後にしてスカイラインを下り、大沼を目指します。進む道の向こうには駒ヶ岳が堂々とした姿を現しており、道中でも何度か車を止めてゆっくり見たくなる牧歌的な景色が広がっています。
◆山川牧場で、コクのあるソフトクリームをどうぞ
スカイラインを下りて道道43号線に突き当たって左折、ほどなく山川牧場自然牛乳 直営工場売店に到着します。ここは、地元の人のあいだでも大人気の立ち寄りスポット。牛の鳴き声がする直営店で、大沼名物の新鮮な牛乳を使ったソフトクリームを味わっていくことにしましょう。
ジャージー牛とホルスタインの乳のミックスを使っているというコクのあるソフトクリームは、シンプルなバニラだけでなく、りんごやもも、いちごなどの果肉入りスウィーツソフトも種類豊富。そのほか、ローストビーフサンドなどの軽食もあります。
敷地内の牛舎では、生まれて2~3日の子牛たちにも会えました。
◆大沼湖畔一周ドライブ、左回りでスタート!
山川牧場から右手に出てJR大沼駅の前を右折、大沼公園駅に出る直前の交差点を右折したら、大沼の周遊道路に入ります。
大沼の周りには約14kmの道路が整備され、起伏の少ない道は、ランニングやサイクリングを楽しむ人にも人気のルート(左の写真をクリックすると拡大します)。木々の間から湖や駒ケ岳が見え隠れし、途中に車を止めて湖畔に出ることができるビュースポットもあるので、ゆっくり回るのがおすすめです。
では、いよいよ大沼湖畔一周のドライブへ繰り出します。時計と反対回りでのスタートです。
【駒ケ岳を正面に見る最初のビュースポット】
最初のビュースポットは、スタート地点から5分程度の駐輪場のあるところ。駒ヶ岳がちょうど正面に横たわり、端正な表情で湖面の向こうからこちらを見つめているようです。中央には、馬の背へ続く登山道もくっきり。
【道産こだわり素材のパン屋さん、三月の羊】
さらに少し進むと、右手に現れる赤い屋根の小屋。土曜日のみ営業のパン屋さん「三月の羊」です。小さな店内に並ぶパンや焼き菓子は、道産小麦粉や平飼いの卵などを使った、こだわりの素朴な味。物静かながら温かいオーナーが出迎えてくれるお店は、おもちゃや絵本などが並び、小さなお客さんも歓迎してくれます。
【木道のビュースポット】
周遊道路に沿う函館本線の旧池田園駅を過ぎ、旧流山温泉駅手前左手の湿地には、湖畔へ通じる木道があります。4月中旬にはミズバショウの白い姿でにぎわう一帯は、夏は緑の草でいっぱい。湖畔に出るとまた、こちらを見つめている駒ヶ岳の姿がありますが、見る人の位置や雲の広がり具合、色などにもよって、少しずつ表情が違うのが見どころです。
【夕焼けの名所、北緯42度の標】
旧流山温泉駅を越えた先のビュースポットに建つのは、「北緯42度の標」。世界の主要都市では、アメリカのシカゴ、イタリアのローマ、スペインのバルセロナなどが同緯度。視界の右端に寄った駒ヶ岳の長く伸びる稜線は、見事な夕焼けの光景も生み出します。時間があれば、大沼周遊を1日楽しんだ締めくくりに、再度訪れるのもおすすめです。
【パワースポット、駒ヶ岳神社】
東大沼キャンプ場を過ぎて5分するかしないかのうちに、右手に現れるのが駒ヶ岳神社。森の中にひっそりとたたずんでいるので、車を運転していると見過ごしがちですが、駒ヶ岳の平穏無事、登山の安全、家内安全などを願うパワースポットとして知られています。大きな岩は、駒ヶ岳の溶岩噴出による石や火山灰が溶け合ってできたものだそう。岩の真ん中が割れていて、通り抜けるとご利益があると言い伝えられていました(2018年10月に落石が確認され、安全のために岩の周囲は立入禁止に)。
【大沼と小沼の境目にある月見橋】
しばらく周辺の景色を楽しみながらゆっくり車を走らせて、大沼一周ドライブも終盤へ。大沼と小沼の境目にかかる月見橋周辺は、冬は白鳥飛来地として知られますが、春~秋には橋の下をくぐり抜けて2つの沼を行き来する遊覧船の姿が見られます。大沼を楽しんでいる人たち同士が、自然に手を振り、振り返します。橋に沿った函館本線の線路を列車が走り抜けていく様子は、鉄道ファンでなくても気持ちが高揚するでしょう。
◆日暮山展望台に足をのばして、大沼一帯の絶景を
せっかく車で来ているのだから、湖畔周遊の途中でちょっと寄り道して、日暮山展望台へ。大沼全体のパノラマ風景を楽しみましょう。
月見橋から線路を越え、小沼沿いに蓴菜沼方面へ走ると、国道5号線に出る前に、左手に日暮山へ向かう脇道があります。この山道で、日暮山山頂手前の駐車場まで車で上っていくことができます。10分にも満たない時間、ガタゴト道をゆっくり走り、駐車場に到着したら、展望台まで緩やかな上り坂を80mほど歩きましょう。
車で登ってきたことが申し訳なく思えるくらいの見事なパノラマは、今まで周囲を走っていた大沼を見おろすというよりは、大沼と同じような高さに浮いているような不思議な感覚にさせてくれました。紅葉の季節にもまた訪れてようと決心して、展望台をあとにします。
駒ケ岳と湖の大パノラマ!
この日は、いい天気ながら雲の流れが速く、時折にわか雨に見舞われました。突然雨が降り出して表情が急に変わる大沼や駒ヶ岳の変化もドラマチックです。
◆湖畔のレストラン、ターブル・ドゥ・リバージュで至福のランチ
日暮山を下り、再び月見橋に戻って周遊道路に入ります。大沼公園駅を目指す途中の左手にあるターブル・ドゥ・リバージュは、多くの観光客が訪れる湖畔の人気レストラン。落ち着いた店内の窓越しに大沼の自然を眺めながらのランチは至福のひと時です。
この日食べたのは、北斗産渡り蟹のトマトクリームパスタ(税込2000円)と、ほどよい甘さのパンケーキ(税込650円)。パスタは、蟹のリッチな風味が圧巻でした。
こちらのレストランは、テーブルとパラソルのついた「湖上テラス」で大沼湖上を周遊しながらの食事やティータイムを楽しめる湖上クルーズも人気です。予約優先、5月中旬~11月中旬の運航。大切な人との大沼のひと時を、より一層印象深いものにしてくれるでしょう。
優雅にランチ。
食事後は、お店の周辺を散策してみましょう。この日、にわか雨が上がった後の大沼は、洗い流されたように陽の光でキラキラ。湖面を境に上下対称に輝く景色は、自然の恵みを感じさせてくれました。
◆楽しかった一日の締めくくりに、大沼の夕暮れを楽しむ
城岱牧場や立ち寄ったお店、各ビュースポットでのんびりしながら周ると、函館を出てから4~5時間があっという間に過ぎていき、おなか以上に心がいっぱいです。函館に戻る前に、国道5号線の大沼トンネルに入る前の新大沼跨線橋手前に車を止め、跨線橋から日が暮れゆく大沼を眺めました。
その歴史の中で周辺地域に大きな災害ももたらしてきた活火山、駒ヶ岳。その駒ヶ岳の噴火が作り出した大沼一帯の景色には、畏敬の念を感じずにはいられません。「また違う季節にも来てみたい」と、一度訪れた方は必ず思われるのではないでしょうか。
帰りは、国道5号線経由で函館まで約30分。市街地からこんなに近くに、豊かな自然があるのは嬉しいですね。函館から大沼へのドライブ小旅行、おすすめです。
2014/10/8公開
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