日本酒、ワイン、地ビール......函館エリアでお酒を楽しむ
-
美味
-
複合商業施設
-
酒類
函館や近郊の地域では、ここのところいろいろな酒造りの話題で盛り上がりをみせています。およそ半世紀ぶりに新しい酒蔵が作られ、地産の日本酒が誕生。またワイン用ぶどうの栽培適地として醸造家たちから注目を浴び、本場フランスからも老舗ワイナリーが進出。さらに定番みやげにもなった地ビールに加え、新しい味わいの探求を続けるクラフトビールも登場。見て、聞いて、知って飲むとさらにおいしい、函館・みなみ北海道のお酒事情をご紹介します。
日本酒~新しい酒蔵2つは、見学可能でショップも併設
函館を中心とするみなみ北海道では、かつて北海道内の大手酒造メーカーが日本酒を製造していました。昭和40年代から撤退が進み、以降約35年間、函館市にかぎると実に半世紀にもわたって日本酒造りが途絶え、青森県むつ市から北海道倶知安町まで直線距離で南北約180キロの間は、酒蔵のない空白地帯でした。
この間、北海道産の酒造好適米(吟風、彗星、きたしずく)の普及、また日本酒ブームの後押しもあり、北海道外の酒蔵とのタイアップなどにより、地元米を使った日本酒が数々登場してきました。こうしたなか、ぜひ酒蔵を再興させ、純地元産の酒造りをしたいとの熱意が実り、2つの新しい酒蔵が誕生。2020年に隣接する七飯町の箱館醸蔵が設立され、さらに2022年には函館市の五稜乃蔵が始動しました。
五稜乃蔵~「はかいく酒」を飲み比べ試飲可能
JR函館駅から車で約30分、トラピスチヌ修道院の丘を越えた田園地区の小中学校跡地を利用して、2021年11月に酒蔵が新築されました。近くを流れる松倉川水系の超軟水を仕込み水に使い、北海道産の酒造米で醸造。上川大雪酒造の川端慎治総杜氏が陣頭指揮をとり、「はかいく酒(どんどん飲める酒)」の「五稜」が誕生しました。近代的な施設で少量ずつ仕込みが行われ、いつでも新酒が造られています。
酒蔵にはショップが併設されていて、ラインナップが一堂にそろい、酒粕を使った珍味やオリジナルグッズも販売。飲み比べのできる有料の試飲(3種つまみ付 880円)もあります。また、醸造施設の一部(タンクなど)をガラス越しに見学できます。
所在地:函館市亀尾町28-1
アクセス:函館バス「亀尾」下車徒歩3分
問い合わせ:0138-84-5177(10:00~15:00、月曜定休)
箱館醸蔵~淡麗旨口の酒、無料試飲あり
もうひとつ、JR函館駅から新函館北斗駅に向かう途中の大中山駅のすぐ前に、道南スギをふんだんに使った建物の「箱館醸蔵」があります。エントランスから中に入ると、道南スギのいい香りに迎えられ、靴を脱ぎ中央の大きな階段を上がると、酒造りの工程全般を見通すことができます。ガラス張りの向こう側で麹造りの作業も見られる珍しい施設です。
横津岳の伏流水を仕込み水に、函館平野で育った酒造米を使い、「郷宝(ごっほう)」が四季を通じて醸されます。淡麗旨口な味わいで、どんな食べ物にも合う懐の深さを目指す酒造りだといいます。1階では、無料の試飲コーナーもあり、酒類や関連商品の販売もしています。ただし、見学・試飲・販売とも土日祝日のみの対応です。
所在地:七飯町大中山1-2-3
アクセス:JR「大中山」下車徒歩1分、または函館バス「大中山」下車徒歩3分
問い合わせ:0138-65-5599(10:00~12:00、13:00~16:00 土日祝のみ対応)
その他、函館エリアゆかりの日本酒
箱館奉行(函館市) 函館産「吟風」を使用、小西酒造(兵庫県伊丹市)で醸造
巴桜(函館市) 函館産「吟風」を六花酒造(弘前)で醸した純米大吟醸酒
みそぎの舞(木古内町) 木古内産「ほのか224」を使い、姉妹都市鶴岡市で醸造
ましろ(知内町)~知内町の帰山農園と出羽鶴酒造(秋田県)のコラボ清酒
ワイン~地元でぶどうが作られ、注目ワイナリーも進出
函館やその近郊では、2023年で創業50年を迎えるはこだてわいんをはじめ、稀少性の高いヤマブドウのワインで知られたおとべワインなど、古くからワインが造られてきました。北海道では、十勝や富良野などに続き、空知地方や後志地方でぶどう栽培が盛んになり、秀逸なワイナリーがいくつも誕生しましたが、函館にも2012年に本場フランスでぶどう栽培と醸造を学んだ夫妻が移住して、観光エリアの元町にワイナリーを創設。ここで造られるワインは、「農楽蔵(のらくら)」や「NORA」の名で全国にその名が知られるようになりました。
また、函館周辺がぶどうの栽培適地であることをアピールした結果、フランスで300年の伝統をもつワイナリー、ドメーヌ・ド・モンティーユ(Domaine de Montille)が函館市郊外の桔梗高台地区に用地を取得し、ぶどう栽培を開始。お隣の北斗市にあるトラピスト修道院の隣接地では、国内の大手酒造メーカーが大規模なぶどう農園を展開しています。さらに北海道庁などが後押しし、新たな醸造家の育成にも力を入れています。ぶどうの生育には時間がかかりますが、醸造施設の建設や試験醸造などが進められており、ごく近いうちに、函館・道南産の秀逸なワインが続々と生まれてくることが期待できそうです。
はこだてわいん~併設のワインショップで試飲可能
はこだてわいんは、函館市の隣町・七飯町にあるワイン工場。隣接する直営ショップが、はこだてわいん葡萄館本店です。明るく広々とした店内には幅広いラインナップのワインが並び、無料で試飲もできます。直営店限定のものや、七飯町特産のリンゴジュース(数量限定)などもあり、ワインを使ったソフトクリームも人気です。なお、醸造施設の見学は、前日までに電話などでの予約が必要となります。
所在地:北海道亀田郡七飯町上藤城11
アクセス:函館バス「上藤城」下車徒歩1分
問い合わせ:0138-65-8170(1~3月 10:00~17:00、4~12月 10:00~17:30 水曜定休)
その他、函館エリアゆかりのワイナリー
ド・モンティーユ&北海道(函館市) フランスの老舗ワイナリーが函館進出
農楽蔵(のらくら)(函館市) ⇒facebook 函館発、小規模生産の稀少な自然派ワイン
おとべワイナリー(乙部町) ワイン専用品種のぶどうを使ってワイン造り
上ノ国ワイナリー(上ノ国町) サテライトオフィスもある山あいの施設で造られるワイン
奥尻ワイナリー(奥尻町) 島の潮風に育まれたブドウで造られるワイン
地ビール・クラフトビール~新顔も続々登場
1990年代半ば、地ビールは全国各地で地域おこしの大ヒット商品となりました。函館エリアでは、今もはこだてビール、大沼ビールという2つの地ビールが高い人気を誇ります。また、近年注目されるクラフトビール(少量で醸造し、製法や副原料など様々な工夫がみられる手作りビール)を醸造する店も増え、ビールファンにとってはうれしいかぎりです。
はこだてビール~函館山の地下水で醸造
函館のベイエリアに、醸造施設の見える大型の飲食店舗を展開。できたての地ビールを飲みながらおいしい料理が楽しめます。函館山のふもとでくみ上げた地下水で作られるビールは、「五稜の星」(ヴァイツェン)、「明治館」(アルト)など、函館ゆかりのユニークなネーミング。函館みやげとしても高い人気を誇ります。
はこだてビール(地ビールレストラン・はこだてビール) はこだてビール公式サイト
所在地:函館市大手町5-22
アクセス:市電 「魚市場通」電停 下車 徒歩3分
問い合わせ:0138-23-8000(11:00~15:00、17:00~21:30、水曜定休)
大沼ビール~数々の賞に輝く本格派
隣町・七飯町の大沼国定公園で造られる本格派の地ビールで、ケルシュとアルトが定番。数々の品評会で高い評価を受けています。大きな三角フラスコのような瓶(1リットル)での販売もあり、ビール好きへのサプライズなプレゼントにもぴったりです。
所在地:七飯町大沼町208
アクセス:JR「大沼公園」下車徒歩2分
問い合わせ:0138-67-1611(10:00~17:00、火曜・金曜定休。冬期は10:00~15:00、火曜・金曜・日曜定休)
Endeavour~みなみ北海道の地ビールの牽引役
近年のクラフトビール人気のなかで注目を集めているのは、乙部町の「エンデバー」です。函館から車で2時間たらずの乙部町を本拠地に、レストランと醸造施設を運営。函館・湯の川地区の支店でも、いろいろなタイプのクラフトビールを少量ずつ醸造。世界遺産の縄文文化にちなんだ栗を使ったビールなどもあります(量り売りのテイクアウト購入も可能)。また、函館山のふもと、末広町電車道路沿いに量り売りテイクアウト専門店の3店目もオープンし、みなみ北海道における地ビール人気の立役者ともいえる存在です。
クラフトビアレストランEndeavour(テイクアウトEndeavour To Go 二十間坂)
所在地:函館市湯川町1丁目26-24
アクセス:市電 「湯の川温泉」下車徒歩1分
問い合わせ:0138-84-6955(11:30~14:00 17:30~22:00、水曜定休)
ozigi~大正期に作られた倉庫建築のレストラン
西部地区のレストランozigiでもクラフトビールを醸造。ひと手間かかった料理をつまみに、数々の手作りビールが楽しめます。
所在地:函館市末広町16-13
アクセス:市電 「十字街」下車徒歩5分
問い合わせ:0138-24-2021(12:00~22:00、火曜・水曜定休)
焼酎~地元産さつまいもで造られる芋焼酎が人気
本格焼酎「喜多里」~北海道産原料4種のラインナップ
函館から車で1時間強の厚沢部町では、従来北海道では栽培できなかったさつまいも「黄金千貫」を20年ほど前から契約栽培し、これを使った本格芋焼酎が町内の工場で造られています。「喜多里」ブランドはこのほかじゃがいも・昆布・麦、全部で4種のラインナップがあり、根強いファンに支えられています。町内限定品も含めて「道の駅あっさぶ」などで入手可能。
所在地:檜山郡厚沢部町字鶉383番地
アクセス:函館バス「うずら神社前」下車徒歩2分
問い合わせ:0139-65-2500
函館エリア、地元の酒が買える店・飲める店
イチマス 湯の川温泉街の老舗酒販店。日本酒・焼酎などが一堂にそろう
酒ブティック越前屋 地元産の日本酒・ワインをコイン式サーバーで試飲可能な酒販店
酒舗 稲村屋 新函館北斗駅前で、北海道の酒とつまみがそろう酒販店。有料試飲あり
函館空港「THE HAKODATE DEPART」 地元のワインや日本酒が充実したみやげ店
函館魚販 海産物とともに函館エリアや北海道産のワイン・日本酒が楽しめる飲食店
※まとめ/記者MT 一部写真/メーカー提供、hakobura撮影 2023/2/13公開